「むすび」のお米|出雲・結地区の米づくり

仏経山(中央奥)を背にした結地区の田んぼ

こんにちは。群言堂広報の三浦です。

突然ですが皆さんはお米はお好きですか?

日本に生きていれば、主食として食べない日はないと言っても過言ではないお米。よほどでなければ、嫌いな人はいないのではないでしょうか。かくいう三浦も、お米好きな人の一人です。

島根県はブランド米「仁多米」を筆頭に西の米どころとして知られていますが、昨年、私たちは縁あって未だ知られざるとても美味しいお米に出合いました。その名も「出雲 神結米(いずも かみむすびまい)」です。

神々の集う出雲の国の「むすび」の地で獲れたお米。なんとも縁起のいい名前ですが、一体どんなお米なのでしょうか。生産地である島根県出雲市の結(むすび)地区まで行ってきました。

7月下旬の取材時、もう稲穂がつき始めていました

結米との出合い


まず私たちと結地区産米の出合いについてお話ししておきましょう。

他郷阿部家では夕食のメインディッシュとして、また群言堂本店カフェや西荻窪のRe:gendoでは人気メニューの一つとしておむすびを提供しており、毎日、おくどさんや土鍋で炊いたご飯をスタッフが一つひとつ想いを込めて手で結んでいます。

おむすびはとてもシンプルな食べ物だけに、素材によって大きく味が変化します。お水やお塩の良し悪しもありますが、何といっても味の決め手はお米そのものであると言えるでしょう。

昨年、ある方から出雲にとても美味しいお米があるということを教えてもらいました。

しかしそのお米は世間には知られておらず、現在は近隣の産地のお米と混ぜて販売されているような状況だといいます。なんとかしてあげたいが群言堂で使ってみないかという提案を受け、お付き合いが始まったのでした。

神が見守る地、結地区


結米の産地である結地区は出雲市斐川町直江というところにあります。なんと、およそ1300年前の書物『出雲国風土記』にも出てくる土地です。

「神の隠れこもれる山」という意味だと言われる神奈火山(かんなびやま)が出雲には四つあると出雲国風土記には書かれているそうですが、その一つである仏経山がこの直江の地にあります。結地区はその仏経山を背にしたおよそ100世帯ほどの地域です。

古くから信仰の対象として人々に祀られていた山の麓、まさに神の見守る地です。ちなみにすぐ近くには弥生時代のものとみられる358本の銅剣が発見されて一躍有名となった荒神谷遺跡があります。

取材場所となった御井神社

「むすび」の意味

「むすび」の「むす」には「産する・生ずる」という意味、「び」には「不思議な神の力」という意味があるのだそうです。

また、神道における重要な観念である「産霊(むすひ)」は万物を生み発展させる働きのことなのだといいます。

結地区は、神の力によって自然や産物に恵まれた土地であることを示していると言えるでしょう。

仏経山のすぐ隣には姥捨山(うばすてやま)と呼ばれる山がありますが、一般的に姥捨てという言葉で想起されるネガティブなイメージとは違い、安心して余生を過ごせる豊かな土地として、最高の隠居場所だと見られていたのだそうです。

今回の取材場所となったのは結地区にある御井(みい)神社。古事記に記載されている古事に縁のある神社です。

その昔、大国主神(おおくにぬしのかみ)の子を身ごもった八上姫神(やかみひめのかみ)が直江の地で産気づき、三つの井戸を掘ってそこから湧き出る水をいただいて身を清めたところ、まことに安産であったと古事記にはあります。

御井神社ではその御子である木俣大神(このまたおおかみ)と八上姫神、そして三つの井戸を祀っており、安産、育児の守護神として古来から信仰を集めています。

ここもまた、「むすび」の地を象徴する場所の一つです。

狛犬にも子供がいました!いかにも安産・育児の神様といったようすです

魚沼や仁多に負けない!?結地区のお米の美味しさの秘密


さて、背景知識が入ったところでついにその美味しさの秘密に迫っていきたいと思います。今回、結地区でお米を作っている結地区営農組合の方々にお話を聞かせていただきました。

「昔から結地区は粘土質の土壌で、標高が少し高いため適度な寒暖差があり、また仏経山からの水にも恵まれて、お米の生育に適した良い環境がありました」と語るのは結地区営農組合総務部長の佐藤文男さん。

現在18人で運営する営農組合は今年13年目を迎えました。6年ほど前から経営を一本化し、コシヒカリ、つやひめ、きぬむすめの3品種を育て年間48トンの収量があります。

もともと地元ではその美味しさこそ知られていたものの、保管場所の冷蔵施設の確保や販路などの課題もありなかなか結地区産米だけの直接販売はできていませんでした。そのため縁故米として分ける以外は近隣地域のお米と混ぜて斐川町産米として市場に流通してきたのだそうです。

そこで組合員の方と群言堂の共通の知り合いだった方が紹介してくださり、この度群言堂が初めての直販先として買わせていただけることになりました。

総務部長の佐藤文男さん

総務副部長の石倉さんは米穀店に勤務していますが、奥様の実家のある結地区に帰る度、食べるご飯が美味しいので気になっていたと言います。

ためしに食味値を測ってみると、なんと90点を超える数値が出たのでした(通常はかなり良くても80点台後半くらいなのだそう)。

「最初は自分に気を使って美味しいお米を出してくれているんだと思っていましたが、これがこの地域のお米の標準なのだということに気付き驚きました」。

「結米は魚沼産コシヒカリや仁多米に匹敵する、あるいはそれ以上に美味しいお米だと思います」。

現在は結地区に居を移して営農組合員となり、勤め先の米穀店の協力を得て結米の冷蔵保存場所を確保するなどして結米の普及に向けて尽力しておられます。

総務副部長の石倉さん

結地区産米3つのこだわり!


結地区産米の美味しさの理由は結地区の土地柄にもありますが、生産者の工夫はどんなところにあるのでしょうか。営農組合の皆さんに、結地区の米づくりのこだわりを聞いてみました。

こだわりその① 低農薬・低化学肥料で栽培!

農薬は田植え時に最低限使用するのみで、それ以外は使用していません。また、肥料をたくさん使えば収穫量が増えますが、食味にこだわるため、あまり使わないようにしています。本来の土地の力を活かした米づくりと言えるでしょう。

こだわりその② 食味にこだわって収穫時期は早めに!

稲の刈り取りを早めにしています。収量は減りますが、一番美味しい時期を見極めて収穫をすることにより、栄養分が多く、食味の良いお米になります。

こだわりその③ お米の乾燥、籾摺り、選別などをすべて自分たちで実施!

乾燥は天日干しに近くなるよう調整し、低温でゆっくりと行っています。また、籾摺りや選別といった作業も自分たちの手で責任をもって行い、品質を保持しています。

生産者の想い


「美味しい米どころは他にもありますが、土地の由来があるところはそう多くはありません」と石倉さんは言います。

「由来というものは作り出すことができませんし、由来あるところにはきっと理由があります。作り方にこだわるのはもちろんですが、そういった背景も大切にして米づくりをしていきたいと思っています」。

組合長の佐藤道夫さんは結米への想いを次のように語ってくださいました。

「今ではどこも田んぼがお荷物になり、田が荒れて村が荒れていくのをただ見守ることしかできない場合も多くあります」。

「せっかく美味しいお米に恵まれた土地なので、何とか喜んでもらえる人に届けたいという気持ちでやってきました。これから、生産者と消費者がお互いを見合えるいい関係性を築いていきたいと思います」。

仏経山をバックに記念撮影!(左から総務部長の佐藤文男さん、組合長の佐藤道夫さん、総務副部長の石倉さん)

登美さんはいつも「おむすびとおにぎりは違うのよ」と言います。

「おにぎりは丸でも俵型でもいいけれど、おむすびは必ず三角。三角形は神様の形なの」。

取材を終えて、その言葉がより腑に落ちてきました。

今後このお米がより多くの方に届くことを願っていますが、今のところ食べられるのは群言堂 石見銀山本店他郷阿部家、そして東京・西荻窪のRe:gendoだけです。よろしければぜひ、その美味しさを体感しにお越しください。スタッフ一同心よりお待ちしています。


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書き手:広報 三浦

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