石見銀山 群言堂

第九話 森の中の仕事場|オークヴィレッジの根のある仕事

こんにちは。第9話の今回は、経理部の村田がオークヴィレッジ高山本社をご紹介します。


オークヴィレッジには約7ヘクタールの社有林があり、そのほとんどが高山の本社や工房を取り囲んでいます。

今では想像もつきませんが、当社の創立メンバーがこの地で注文家具工房を始めた1976年頃、この場所は別荘分譲に失敗した緑のない荒地だったそうです。

その後に植え続けた木々は45年の時を経て、「緑の国」にふさわしい気持ちのよい森林に育っています(私たちは、緑豊かなオークヴィレッジ敷地内を「緑の国」と呼んでいます)。

「緑の国」昔と今

オークヴィレッジを訪れるお客様に、「ここは時間がゆったり流れていますね」と言っていただくことが多いのですが、穏やかに晴れた心地良い日などは建物から一歩外に出ると私もやっぱりそんな気持ちになります。

木々や草花、昆虫や時には小動物、さらに空の様子など、周りの変化に、つい仕事中であることを忘れ悠悠閑閑と過ごしてしまいそうになることも…

出社してから仕事を終えるまでの時間を森の中(職場)で過ごすようになり、以前よりも四季の変化を敏感に感じるようになりました。

春の芽吹きと鳥の囀り、新緑から深緑への変化、結実と落葉、そして雪と、目まぐるしく変化する景色を心から楽しむ毎日です。近年の暑い夏や雪が多い寒い冬は時に過酷ですが、それらをも含め変化に富んだ職場です!

梅雨の合間に輝くシンボルツリー(トチの木)

さて、私たちはこの素晴らしい環境を維持するための整備活動を毎月社員で行っています。ここ数年は、「緑の国 活動計画」と銘打って、年間スケジュールを立て毎月に季節に合わせた活動を行っています。

基本的には社員が作業しますが、そのうちの年4回は、社員の家族や当社のお客様対象の会員組織の「シルヴァンクラブ」の会員の方にもご参加いただき、一緒に森の手入れや、森林を楽しんでいただく活動を行っています。

社員による森林の手入れ

この活動の内容は大きく分けて2つあります。植林・育林活動と敷地内の整備です。

植林・育林活動は主に、春の植樹、夏は下草刈り、秋はどんぐり拾い、冬には間伐作業などを行います。

敷地内の整備は多岐に渡り、建物等施設の補修やトレイル(遊歩道)整備、さらには畑での作業も行います。

なかなかハードな作業もありますが、木や自然が好きなモノづくり集団として?おおよそのことはスタッフの知恵と技量でこなしています。

去る5月1日には、「緑の国 植樹祭」を開催しました。

飛騨高山の春の訪れは遅く、この時期は例年新芽がようやく出始めるかどうかで緑はまだ見られない時期ですが、今年は驚くほど早い淡い緑を楽しみながらの植樹祭をシルヴァンクラブ会員の皆様を交えて行いました。

今回は、社内を流れる小川沿いの谷あいの斜面にヤマザクラを、周辺の窪地にはイロハカエデを植えました。皆で植えた木々が成長し、春はお花見、秋には紅葉が楽しめる名所となる日が楽しみです。

一生懸命植樹をしてくださった皆様の想いを実現するためにも活動を継続し、森林の手入れを行っていきたいと思います。

みんなで植樹をしている風景

また、昨年緑の国の活動では、新たな2つの取り組みを始めました。

当社の敷地内には、俳優の菅原文太さんが生前手入れをされ、私たちが引き継いだ里山があります。この里山のコナラを使った商品の開発を始めました。

自社林の間伐材を利用し、商品をつくることは環境保全の観点からも理にかなっており、当社が目指している環境共生型のエシカルなモノづくりを、今後さらに加速させていきます。

自社林から伐りだされたコナラ

自社林のコナラを使った新商品「どんぐりカードスタンド」

また、しばらく休眠していた畑に昨年春に土を入れ、グループ会社で製造するアロマの抽出時に残渣として出る腐葉土を混ぜ、畑を復活させました。

雪かき用の重機も動員し、皆で汗を流しながら自己流!で畑を耕し、ブルーベリーの苗木と夏から秋に採れる野菜を植えることから始めました。

今年5月・じゃがいも植えの様子

秋にはさらに苗畑を増やしドングリやクリ、トチの実を植えました。

動物に掘り返されなかった木の実からはこの春、かわいい芽が出ており、雑草に負けないように草取りなど手入れをしながら、畑でもう少し大きく育てた後、森に返す予定です。

ドングリの苗木

緑の国の活動を通して、汗を流しながら作業を行うからこそ敷地内の自然や環境の変化がより身近になったのかな、と思うこの頃です。

皆様、ぜひ一度この緑の国にお越しください!

そして私たちの努力の成果を見てくださいね。


【プロフィール】
オークヴィレッジは、木のおもちゃや家具、木造建築を手がける木工房です。1974年の創業以来、日本の森から木という恵みをもらい、飛騨高山の地で日本の伝統技術を駆使したモノ造りを行いながら、森林保全活動や林業の6次産業化にも取り組んでいます。

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