石見銀山 群言堂

【日本ものづくり探訪】第一話 飛騨高山の地に根ざした、木工集団|オークヴィレッジの仕事

藍と楢(ナラ)と漆のコラボレーションソファ

日本で古くから用いられ、現代でも広く愛される藍染の布、 日本の森で長い年月をかけて育った楢(ナラ)に漆。

“日本に古くからある素材や伝統技術を活かし、現代の暮らしに合うモノ造りを続ける。”
群言堂さんと飛騨高山の木工房「オークヴィレッジ」のモノ造りへの“想い”が込められた、美しいコラボレーションソファです。

このコラボレーションのご縁から、全 12 回にわたり、私たちオークヴィレッジの“根のある仕事”をお届けします。

服飾と木工、まったく違うものをお届けする群言堂さんとオークヴィレッジ。しかし、この二社には共鳴する部分の多い、深く、大切な“想い”があります。 今回、私たちの物語をお伝えする中で、群言堂さんにも通じる大切な想いがお届けできればと思います。

飛騨高山に根ざして

オークヴィレッジのある高山市清見町は、標高約 700 メートル、冬は氷点下にもなる雪の多い地域です。

沢山の木々に囲まれたオークヴィレッジの敷地。工房や事務所、店舗などが点在します。

私たちは 1974年の創業以来、この飛騨高山の地に根ざし、おもちゃ、家具、建物など、日本の木を使ったモノ造りをしています。

1970年代の高度経済期、化石燃料を中心とした大量生産・大量消費が当たり前の時代。そんな社会に異を唱え、“持続可能な資源を用いて、自然と共生できる社会をつくりたい。” 創業者の稲本正をはじめとする 5 人の若者が、「木」という素材に可能性を見出し、一から家具造りを始めたのが、オークヴィレッジの始まりです。

創業当時の一コマ

今ではすっかり豊かな森となっているこの場所も、実は46年前の創業当時は荒地でした。この地に根ざし、木でモノ造りを始めるとともに、自分たちで木を植え、循環型社会を目指したのです。

今でもこの豊かな森を維持すべく、月一回、社員みんなで森の手入れをしています。

木々に囲まれた敷地内には、イワナも棲む谷川が流れ、ツリーハウスもあります。敷地の森には、私たちのつくる製品の材料にもなる様々な種類の広葉樹や針葉樹があり、春は桜や新緑、秋は色とりどりの紅葉と、四季折々の表情を楽しむことができます。

オークヴィレッジの3つの理念

創業当時の恩恵を受け、豊かな自然の中で日本の木のモノづくりを行う私たちは、46年たった今でも、創業時の精神を「3つの理念」として大切に引き継いでいます。

~お椀から建物まで~
日本に生育する様々な木を用いて、玩具、文具、漆器から家具、そして木造建築まで、 暮らしの様々な場面で自然素材を活かす提案をしています。

~100年かかって育った木は、100年使えるものに~
私たちが用いる材料は、永い時間をかけて大きく育った木です。その木が生きた年月と同じくらい、永く使い続けられるモノ造りを目指しています。

~子ども一人、どんぐり一粒~
“木を使ったら、100年後に同じ大きさになるドングリを植えて木を山へ返そう”と考え、広葉樹の植林・育林を行っています。 私たちは、ただ商品をつくって売るのではなく、豊かな自然との共生、次世代につながるモノ造りを目指しています。

そんな私たちのモノ造りについて、次回は材料の“木”に焦点を当ててご紹介したいと思います。


【プロフィール】
オークヴィレッジは、木のおもちゃや家具、木造建築を手がける木工房です。1974年の創業以来、日本の森から木という恵みをもらい、飛騨高山の地で日本の伝統技術を駆使したモノ造りを行いながら、森林保全活動や林業の6次産業化にも取り組んでいます。

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