石見銀山 群言堂

第10週目_棟に向って茅を葺く|鄙舎茅の葺き替えプロジェクト

3回目の茅が到着しました。

しっかりと縄で締めていきます。

こんなに大きな屋根が人の手だけでつくられていきます。

福島県出身の佐藤さん。新人さんです。

新たに加わった池田さん。佐藤さんと二人で茅を運びます。

2017年5月22日(月)

今週はお天気に恵まれるようで作業は随分進みそうです。いつの間にか8層目の平葺きにとりかかっており、遠くから見ると屋根に人が小さく乗っかっているようです。今朝はまた200束の茅が御殿場から到着しました。大きなトラックから軽トラに移し替えて鄙舎まで運びます。
移築当時は周囲に何もなかったので、大きなトラックが何台でも入ってこれたそうです。今は鄙舎の隣には本社ワークステーション、トイレ、小川と田んぼ、畦道と、いろいろなものが造られており、とてもそんなトラックが入れるスペースはありません。
本日も茅葺きは順調に進んでいきます。茅置き場から現場まで茅を運ぶのは、この現場が初めてという新人の二人、池田さんと佐藤さんです。暑い中、切り茅をつくり、足場まで運びます。

角の形を決めながら丁寧に葺いていきます。

北西は9層目となります。


昨日つくった北西の角に合わせて北の平を葺きます。

東南の角にとりかかります。

明日は田植えです。鯉のぼりのある風景もそろそろおしまいです。

屋根の上で屋根談義中。気持ち良さそうに見えるのです。

余分な茅をかいて落としています。

2017年5月23日(火)

本日は北と東の平を葺いていきます。楽に座れるようになった屋根の上では、若いけれども経験年数があり先輩になる松木さんが小柳津さんに随所随所で屋根全体の形の見方やどう形をつくるか、ガンギの叩き方などを伝えています。
四つの角づくりは基本的には一人の職人さんが担当しているような形で、そうするとそれぞれにクセのようなものが出てきます。クセを超えて、イメージする屋根の形を実現するために客観的に全体を捉える視点が大切なのだと話を聞いていて感じました。

東の平の左端から。

右端から。真ん中まで進みます。


遠くから屋根の形がわかるようになってきました。

葺く位置が高いため、補充の茅を屋根途中に置いています。

茅葺き屋根の見た目の印象を決める角の形を丁寧に調整します。

1997年移築当時の葺き替え記録より。

2017年5月25日(木)

平の8層目と9層目を噴きながら、四つの角を調整していきます。鄙舎隣の本社の屋根から作業をずっと眺めていると、屋根全体の形がよく見えます。もしかしたら、現場で屋根に登っている職人さんより俯瞰してみているかもしれません。若手腕利き職人の松木さんが、西南の角をガンギで叩いてなだらかな曲線の角にし始めた時、やっぱり!と思いました。
下の写真は、定点観測地点撮影分より、どれぐらい工程が進んでいるか、よくわかるように並べてみました。垂木の骨組みが茅で覆われて破風の高さまで届いています。屋根上部になり、茅を葺く面積が小さくなってきているため、一層を葺く作業時間が短くなり、どんどん茅葺きは進んでいます!

4月27日。定点観測初日の写真より。

5月25日現在。もう棟近くまで葺き上がってきています。

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