石見銀山 群言堂

コミュニティステーション

JR高尾駅北口駅舎

縁あってJR高尾駅北口に出店することになりました。

『さすが群言堂さんですねぇ目のつけどころが違う高尾ですかぁ』
ミシュランガイドで観光地として最高の三ツ星に選定され、
このところ話題にのぼる高尾山だけに、高尾に出店するという話をすると
大抵の方はこう反応されます。
しかし正直なところJR高尾駅、特に北口は京王線の高尾駅ほどの賑わいはなく、
観光客は少ないし、商業地としてもJR高尾駅は北口よりむしろ南口の方が発展しています。
では、なぜ。
大吉っあんが興味があったのは古い木造駅舎でした。
もともとは大正天皇の大喪列車の駅として新宿御苑に設置された駅舎を移築したものです。
奇遇にも高尾駅は、出雲の旧大社駅を設計した曽田甚蔵氏の設計でした。
この厳しい時代、会社のトップとしての舵取りは慎重さが求められます。
夫婦となって早三十数年。彼が語らずとも古い木造駅舎の再生に心惹かれるのはわかっていました。
しかしそこでビジネスを展開するとなるとどのような試算、目論見があるのか知っておきたい私です。
『俺の目を見ろ 何にも言うな』というセリフの歌がありました。
『男はだまって・・・』のコマーシャルも一世を風靡しました。
日本の男は黙っていることを、また、女は黙ってついていくことを美徳とする傾向があります。
しかし、ことビジネスの相方としては話が違います。
今回の仕事の立ち上げの準備のために、一ヶ月ほど前から単身赴任している大吉っあんに
久しぶりに会った時、今回の出店の目的をまず聞いてみました。
少し間をおいて出た言葉は『人の解放だな』
『はぁ?』まるで禅問答。
私はビジネスとしての展開の答を期待していた。
『この人間関係が閉塞した時代、人と人とのつながりをもっと親密なものにできないだろうか。
遮断された住宅事情、隣の玄関に座り込んでおしゃべりした
昔のあのコミュニティが取り戻せないだろうか。
根気よくコミュニケーションをとって、下から下から小さなことを
積み上げていくことによって作り上げるコミュニティ。これが理想だなぁ。
しかしこれはボランティアではないんだ。
ビジネスにおける社会性、つまり共働で地域をよくしていく姿がビジネスの中に欲しいんだ』
本来日本が持っていた『和』の文化、人との絆やその土地とのつながりを大切に、
おだやかなこと、仲良くすること、調和することをもう一度取り戻すことの必要性を強く感じます。
高尾駅店はその実践の場にしてゆきたいと考えています。
高尾山には数多くの天狗伝説があります。
いずれも天狗さまの持つ神通力、つまり霊妙な力が働いたという話です。
どうか天狗さまの御加護がありますように。


登美

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