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「よっ、大棟梁」

築80年の文化住宅を再生し、りげんどうとしてオープンした。

JR西荻窪南口から歩いて三分ほどの所に昭和初期の文化住宅を再生した店、
Re:gendo(りげんどう)をオープンしました。
「よっ大統領」ならぬ「よっ大棟梁」。
ナンダカンダ言いながらも棟梁大吉に声援を送る登美は、結局のところ似た者夫婦なんでしょうか。
お披露目の日、昭和のくらし博物館の館長小泉和子さんからいただいた賞賛のメッセージに
大吉っあんは大いに勇気づけられたのでしたが、登美には一抹の不安がー
大吉っあん、調子に乗って暴走しないで下さいよ。

松場登美

以下、小泉先生から頂いたメッセージです。

大吉さん、またやりましたね

大吉さん、松場大吉さんはこのRe:gendoのオーナーですが、天才的な普請狂です。
本拠地は世界遺産になった石見銀山の町、島根県大田市大森町です。
ここにも群言堂(店舗・事務所・アトリエ・作業所)のほか、鄙舎、阿部家、ろうそくの家をはじめ、
数多くの建物をつくっていますが、
どれもすべて古い民家を、大吉さんが、斬新かつ芸術的によみがえらせたものです。
和風でもない、民芸的でもない、フォーク調でもない、もちろんモダンではありませんが、
でも決して古くはない、非常に新しいセンスです。
しかも詫びていて、閑寂で、渋くて、雅致に富んでいるのです。
ああ、こういう古民家の活かし方もあるのだなあと。刺激的です。
大吉さんは古くなって潰れかかった家、落ちてきそうな天井、
倒れそうになった柱、抜けてしまった床、崩れかかった土蔵などを見ると、
どうも一気に興奮し、発熱状態になってしまうようです。
時代を経て人のくらしの匂いがしみ込んだ木や板や壁が無性にお好きなんですね。
こういう建物を見るときの大吉さん の目は恍惚と酔い痴れているようです。
でもそれだからこそ粗大ゴミになりかかっていた家が、こんなに活き活きと再生するのでしょう。
死にかかった老人が、魔法の力で、みずみずしい青年に生まれ変わったようです。
放っておけば壊されて消えてしまう古い建物を、こういう風にして、
遺して、後世に伝えていくことは日本の建築文化にとっても大きな意味を持つ重要な仕事です。
大吉さんはいわば「ひとり文化庁」です。
そしてそれが可能なのも大吉さんには楫谷さんというすぐれた相棒がいるからです。
大吉さんのアイデアを現実のものにするのは職人でありアーチストで もある楫谷さんです。
いくら天才大吉さんでも楫谷さんがいなければ手も足も出ないでしょう。
あの人口たった500人の大森町の中に、こんな二人が存在して いたというのは奇跡です。
日本の建築文化を遺すための天の配剤だったのでしょうか。
まさに運命的なコンビです。
こんど出来た西荻のRe:gendoは昭和戦前の住宅だそうです。
これまで手がけた中でもっとも若い住宅ではないでしょうか。
江戸・明治の住宅にく らべて趣あるリフォームをするのはかえって難しいと思います。
あちこちでレトロ調にリフォームしていますが、なかなか面白いものはありません。
中途半端に なってしまうのです。
私はまだ見ておりませんが、大吉・楫谷コンビがどんな風にしたか楽しみです。

(昭和のくらし博物館館長 小泉和子)

2012春夏展示会案内状より

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