石見銀山 群言堂

包装を見直しました

限りある資源をいかに無駄なく活用するかが問われる時代です。
そこで、包装資材を見直すことになりました。
と、大層なことを言っても正直なところ最初は今まで使用していた手漉き和紙が
あまりにも高くつきすぎるので、それに代わるものでのコストダウンが目的でした。

紙の質を落とさざるを得ない、それであれば弊社らしい意味あるものに…
と考えてゆく中で生まれたのが表面は芋判でデザインした「水の華」のプリント、
裏面は「徒然四方山新聞」という新聞仕立ての読み物という包装紙です。
紙面にはメッセージを満載、ちゃっかり宣伝スペースも入れたりしています。
四国の四万十川流域で古新聞を包装紙に使おうという動きがあることを知り、
新聞が包装紙になるのなら、包装紙が新聞になってもいいのではないかという発想が生まれました。

昔の店では野菜も魚も新聞で包んでいました。
また、包装紙は捨てずにお裾分けなどの時に再利用していました。
新聞も包装紙も近頃はその役割を終えるとゴミ扱いされる運命にあります。
極力すぐにゴミにしない、されない努力をしたいと思います。

水の華とは水中の植物プランクトンにつけられた愛称です。
この小さな微生物が光合成エネルギーによって地球上の酸素の二分の一を作っており、
また、地表の二酸化炭素を減らす役割も担っていると言われています。
その種類は五千種にも及び、海の食物連鎖の基となっています。
陸上では絶滅危惧種と呼ばれる動物や植物が増えているようですが、
絶滅危惧は自然界のみならず、あらゆる業種業態にも言える現代です。
多種多様な生物が共存する生物多様性と多種多様な業種業態が残る社会への
メッセージも水の華のデザインには込められています。

また、紙袋は近くの施設の方々に水の華をプリントした紙を一枚一枚、
手で破り袋に貼り付けていただいています。
当然のことながら二つとして同じものはありません。
ここにも私達なりのメッセージが込められています。
出来上がった紙袋は機械では作れない味が一つ一つ、
個性あるものとなり芸術的にさえ見えます。

今回の包装紙の見直しはコストダウン以上に、
大切なものに気付かされる切っ掛けにもなりました。

登美

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