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滋賀麻さんとの出会い【登美 × 滋賀県・滋賀麻工業株式会社】第2回

2018年 5月

滋賀麻さんとのお付き合いのはじまりは、長年ブランド〝登美〟のデザインに携わる折井がきっかけ。「前職時代から、近江の伝統織物である〝もみほぐし麻〟の涼やかな着心地や上品なツヤ感、それでいてやさしい肌触りに惚れ込んでいました」。

そんな彼女の片想いから滋賀麻さんを訪ねたのは、14年前のこと。以降現在に至るまで、もみほぐし麻を活かしたワンピースやブラウスを共に作りあげてきました。

近江産地『滋賀麻さんのもみほぐし麻』の連載第2回目は、滋賀麻さんと私たちとの出会いと関係についてご紹介させてください。

連載第1回目【滋賀麻さんの歴史】

滋賀麻さんの一番のファンだと思ってるの

写真左から、社長の山田清和さん、群言堂の折井

折井 初めてお会いしたのは14年前ですね。

山田清和社長(以下、山田さん) 毎年わざわざ来ていただいてありがとうございます。

折井 私は滋賀麻さんの一番のファンだと思ってるの。私自身が毎年、もみほぐし麻の新しい服を着たい。お客様もきっとね、そういうふうに期待してくださってると思うの。「今年のもみほぐしはなにかしら?」って。だから「来年のもみほぐし麻はどうつくろう?」ってね、滋賀麻さんといつも一緒に悩んできて。

山田さん そうですね。折井さんは現場の工程やサンプルから原石を見つけだすのがすごく上手やなぁと思っています。

折井 こうして伺うと、過去の資料からなにから、いろんなものを見せてくださる。だから現場に来てイメージを膨らませたり、大きなヒントをいただいたりしています。「これはこういうふうにできますか?」だとか、技術に関する「できる」「できない」もその場で確認できますし。

山田さん 毎年本気で顔を突き合わせてきたから、折井さんはお客さんというよりも、お姉さんのような感覚です。失礼な言い方ですけれども(笑)。

折井 いや、お母さんでしょう(笑)。

山田さん そんな感覚で、気軽と言うたら怒られますけど、なんでも対等に言い合える関係です。お互いにね、「こうしてほしい」「これはできません」とか、言うこともありますよね。

折井 たとえばこの生地は、単調なストライプ柄ではないので、仕上げるには経糸の成形をその都度変えなきゃならない。ものすごく手間がかかるんですよね。

山田さん こういう生地は本来ジャガード織りができるような特殊な織機でないと織れませんけども、そういう織機で織ってしまうと、今度はもみほぐし麻の規格から外れてしまう。じゃあ一般的な織機でこれをどう実現しようかと、打ち手を考えて試し尽くすわけです。

折井 私たちが滋賀麻さんにお願いしていることは、職人さんほど機械のことをわかっていないから言えることでもあるんですよね。私たちの要望の中には、職人さんにとって「こんなお願いをされてもむずかしい」っていうこともあるはずで、滋賀麻さんは断るという選択肢もあると思う。でも、いつもなんとか実現しようと試行錯誤してくれる。

会長 ほんま、この仕事は手間がいるんです。経糸を通し変えるのが大変なのや。それを間違うと、うまいこと配列がいかへんから。

滋賀麻工業(株) 会長の山田清史さん

折井 だからこそ生地が織りあがってきた時はね、うわぁって。本当に嬉しいですよ。

山田さん 手を使い頭を悩ませただけ生地に変化があるし、デザインの幅も広がりますよね。

本来の上質感を損なわないままに

折井 年を重ねるごとに滋賀麻さんとのやりとりが徐々に深くなって、おかげさまでこだわり抜いたものを作れるようになりました。

山田さん それは群言堂さんのものづくりに対して共感しているからです。
しかも、私らが想像できない企画をされるので。

よく〝車のフルモデルチェンジは誰だってできる〟と言います。
まったく新しく作り変えるよりも、素材やデザインが本来持っている良さを継ぎながら新しく創っていくほうがむずかしい。
「もみほぐし麻」はフルモデルチェンジよりもマイナーチェンジでなければならないと思うんです。


折井 そうね、新しいものを作りたいけれども、このもみほぐし麻の良さから大きくかけ離れた新しさを追求したいわけじゃない。本来の上質感を損なわないままの、グレードアップさせた服を作りたいですね。

山田さん そういうこだわりをお持ちだから、私らが「これでええんちゃうかなぁ」と思っても、なかなか商品の出来に納得されない(笑)。
いま制作中のもみほぐし麻も、じつはサンプルを4回作り直したんですけど、「もっと良くできる」って仰る。
4回も作ってくれてんやったら、しゃあないこれでいったろかっていうのは……。


折井 ない、ない(笑)。

山田さん 絶対に「うん」と言いませんもん(笑)。
ついこの間も、とにかく凝った柄の企画をいただいて、私は「できません」とお答えすることもあるんですけど、職人さんに相談したら「群言堂さんの仕事やったらしゃあないな」と。
長くお付き合いしてお互いに信頼しあえているので、職人さんにがんばっていただけたのかなと思います。


折井 本当に有難いことです。常識的な機械の使い方だけでものをつくろうと思ったらね、それしかできないじゃない? だから機械の扱い方にとらわれずに、「こういうデザインはできないかしら?」って、相談させてもらうの。

山田さん それだけ群言堂さんの、いい加減なものをお客さまにお出しできないというプライドを感じるので、僕らも本気で応えたいという想いがありますよ。

つづく連載第3回では、「もみほぐし麻の魅力」についてお話します。

撮影と書いた人

タクロコマ(小松崎拓郎)
1991年生まれ、茨城県龍ヶ崎市出身の編集者/カメラマン。これからの暮らしを考えるウェブメディア『灯台もと暮らし』編集部所属。

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