石見銀山 群言堂

石見銀山の草花ブログ*文月|令和元年

初夏の草花たちの美しさに迫って見ました!

緑色がだんだんと濃くなっていくこの時期、他にはないそのなんとも言えない青い色とはかなげな姿が目をひきます。{ツユクサ}

図鑑で見かけてから実際にこの目で見ることを楽しみにしていました。{ネジバナ}

里も山も紫陽花に彩られます。

前回の調査の時から咲き始めていた初夏の花たちが、7月の下旬になって旬となりました。ただ、今夏の例年にない梅雨時期の遅れのせいなのか、あたりの緑は隆々としていますが、花たちはどことなく元気がなく見えます。一方で、ブログをスタートしてから初めての夏のために図鑑も夏版を備えて以来、その中にあった{ネジバナ}がここ石見銀山でも咲くのだろうかと、夜寝る前などに思い巡らしていたところ、ある朝、畦道の右脇に、鮮やかなピンクのネジバナが2本、すくっと立ち咲いていて、なんとも心が踊ったのです。

グワッグワッと田んぼを泳ぎまわりながら草を食べ、すくすくと成鳥しています。

すくすくとたくましく大きくなり、畦道を通る楽しみが一つ増えました。

田んぼの草はすっかりカモたちの胃の中です。

会社の前にはお借りしている田んぼがあり、数年前から社員で田植えをしています。元左官で建物まわりから小物まで手がける名物社員だった(故)楫谷さんがあれこれと管理してくださっていましたが、今年は田おこしから水引から田植えまで自分たちでやらなければらず、任をおった田んぼ部が頑張った甲斐あって6月中旬田植えを終え、苗は大きく成長しています。そんな社員だけの田植え初挑戦だったのに、さらに、畑部の鈴木が「合鴨農法をしたい!」と赤ちゃん鴨たちを連れてきたのが6月末。それはそれは可愛く、近所の蛇が食べようと近寄ると、無邪気に近寄っていったり、周囲に張った網から逃げ出したり、人間たちをハラハラさせましたが、今では鴨らしい毛並みになり、ある時には群れで勢いよく田んぼを横断して草をパクパク食べています。顔を見るとまだあどけなさが残っているところがなんとも胸をきゅんとさせてくれます。

里の何気ない草花のたちの巧妙な造形。

とてもやわらかい白さと細やかな造形に初めて気がつきました。{シロツメクサ}

子供の頃の通学路を思い出して懐かしい{ムラサキカタバミ}

左巻きと右巻きの両方があるそうです。自然はすごいですね。{ネジバナ}

先月ご紹介した{コモチマンネングサ}の群生。

オレンジ色のユリ科やスイセン科の花が初夏を感じさせます。{ヒメオウギスイセン}

今回、シロツメクサやムラサキカタバミなどの何気ない里の草花たちがより満足いくように撮影できました。先に書いたように、なんとなく草花たちの姿が少なく感じるのですが、これから秋にかけて移り変わっていくのがとても楽しみです。だんだんと、どこにどの草花たちがいるのかわかるようになり、違う場所で見かけると嬉しくなったりします。専門家には到底なりえないので石見銀山の里の草花オタクでしょうか。

初夏を感じさせるあれこれ。

他郷阿部家の前庭は毎夏蓮の花がきれいに咲きますが、葉も瑞々しく伸びやかに。

赤い葉脈に夏を感じてカメラにおさめました。

こちらの山肌の土と草に生命の息吹があるように思いました。

大森町は今こんな景色です。

畑部鈴木が愛情込めて世話をしている鈴木農園に、行き交う人々が歓声をあげます。

修復中の豊栄神社。石見銀山には、銀鉱山の最盛期には50を超える寺社があったそうです。

石見銀山ガイドさんが大忙しの季節です。

石見銀山には「井戸神社」に祀られている、享保の大飢饉の前年に石見をおさめるべく江戸から赴任を任命された井戸平左衛門という代官がいました。過日、その人物をテーマにしたお話会があり、その時、近日発売という書籍「いも殿さま(土橋章宏著/カドカワ)」を購入しました。エンターテイメントたっぷりの内容で、脚色は当然あるでしょうが、今まで伝承だけで漠然としていたその人物の、薩摩から唐芋を石見にもたらすまでの波乱万丈がよく描かれており、その昔確かにこの地に存在して偉業を成し遂げた人なのだと実感しました。町の規模からすると驚くほど立派に祀られている井戸神社の理由も良くわかりました。映画にしたら面白いだろうし、多くの人に楽しんでもらえて石見銀山のことをきっと身近に感じてもらえるなぁと、期待するところです。

お届けしているエリアは主に「豊栄神社」付近です。

inkan_koyanagi_recipe.jpg 担当:小柳

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