石見銀山 群言堂

鍋帽子のある暮らし

1 登美さんの鍋帽子のある暮らし

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ぽっかりと空いた時間に 自分の「好き」をたぐり寄せて。

「昔から私、ふとした拍子に豆を煮たくなるの。
うちの実家が豆腐屋だったからかしら。母が自宅の台所で細々と豆を煮て作っていて、物心つく頃から、その姿をずっと見ていたのよ」。そう登美さんが言えば、娘の奈緒子さんが「できあがった煮豆はしょっちゅうおすそ分けしてくれるのよね。孫たちに 妖怪煮豆ばばあ なんてからかわれながら(笑)」と言ってクスクス。そんな二人のかたわらで、今日も登美さん自慢の黒豆がつやつやと煮上がっています。鍋の横には藍の鍋帽子。「保温調理」で料理をおいしくしてくれる、とっておきの台所道具です。

「黒豆は季節を問わず煮ます」と登美さん。

想像もしなかった緊急事態宣言が日本を覆いつくした今年の春。これまで休みなく働き続けてきた登美さんにも、思いがけずぽっかり空いた時間が生まれました。武家屋敷を改修した宿「他郷阿部家」にて、竈婆としてお客様をお迎えする仕事は2か月近くストップ。群言堂の本店や本社もしばしの休業に入りました。会社を始めて以来、初めて味わう長い休暇のような日々の中、ふと登美さんの目に留まったのが、鍋帽子でした。
「鍋帽子を教えてくれたのは、娘の奈緒子なの。もとはといえば奈緒子がお姑さんから教わって、使ってみたらとても便利だというんで、数年前に私にもすすめてくれたんです」。

久しぶりに使ってみれば、火を使う時間は少なくてすむし、鍋帽子が調理している間は台所を離れてほかのことができる、といいことずくめ。料理することも食べることも大好きという性分を発揮して、あれこれ使ってみた結果、こんなにいいものなら、鍋帽子普及活動を続ける「全国友の会」さんと話し合い、群言堂のオリジナル版を作ろう、と相成りました。
鍋帽子がくれた「ながら時間」には、読みたい本を読んだり、観たい映画を観たり。自分の「好き」を改めてたぐり寄せて味わう時間は、「これからの時代をどう生きるか」について、思いを馳せる時間ともなりました。
「ひとりで楽しんでてももったいないから、私のおすすめ本54選と、おすすめ映画28選のリストを作って休業中の社員にも送りました。何かヒントになるものがあるかもって」。さらにはインスタグラムも始めた登美さん。親しい人に一筆、手紙を書くように、スマホで写真を撮ってはコメントと一緒にアップしています。

鍋帽子がくれた「ながら時間」に読書を楽しんで。

仕事が再開されてからも、昼はたいてい自宅に戻り、自分好みの昼食を手早くととのえて食べる登美さん。夫の大吉さんとは「仲良し別居」を満喫中ですが、ひとり暮らしの人がよく言う「自分ひとりの食事支度はおっくう」と思ったことはないのだとか。忙しい毎日でも、どうせなら時間に追われるより、時間を味方につけて、今日という日を機嫌よく。鍋帽子は、そんな暮らしの工夫を楽しむ人の相棒です。

2 台所にひとつ、鍋帽子があれば。

ぬくぬくと鍋を抱いて調理する姿がなんともけなげで愛らしい鍋帽子。
一度使ったら手放せない、台所仕事の名助手なんです。
そんな鍋帽子の魅力をご紹介いたします。

食材をやわらかくし、ゆっくり味を沁み込ませるのにちょうどいい保温調理。肉や魚はふっくらジューシーに、野菜は香りと滋味がしっかり感じられる味わいに仕上がります。

外出前や就寝前。下ごしらえだけ済ませて、あとは鍋帽子に任せておけば、食事どきには食べ頃になったひと品がスタンバイ。時間に追われながら料理するストレスがぐんと楽に。

火からおろして鍋帽子をかぶせてしまえば、あとは吹きこぼれや焦げつきの心配はなし。ガスや電気の使用量が減って省エネにつながるうえ、台所に暑さがこもるのも防げます。

3 全国友の会 × 群言堂「藍染の鍋帽子」

毎日の暮らしを豊かにしてくれる鍋帽子。
そんな鍋帽子を広めていきたいという想いがつながり、
鍋帽子の生みの親である婦人之友「全国友の会」の協力のもと、
この度群言堂オリジナルの鍋帽子が誕生しました。
素材は私達の大好きな藍染にこだわって、一つ一つ丁寧に綿を入れてふかふかに仕上げました。

*鍋帽子は、公益財団法人全国友の会振興財団の登録商標です。


暮らしを愛する気持ちをともに。

鍋帽子のルーツは、「良い家庭がよい社会を作る」の信念のもと、羽仁もと子・吉一夫妻が1903年に創刊した雑誌『婦人之友』にありました。初めて鍋帽子の原型ともいうべきアイデアが誌面で紹介されたのは、1916年。その後、デザインや仕様の改良が進み、やがて各地の愛読者の集まりである「全国友の会」から鍋帽子を手作りする運動が広まっていくことに。家庭の中で省エネやCO²削減に取り組もうと呼びかけるこの鍋帽子普及活動は2002年環境大臣賞を受賞しています。私たち群言堂も、その思いに共鳴し、「全国友の会」の皆さんと鍋帽子の輪を広げていきたいと願っています。


「全国友の会」とは

「婦人之友」愛読者によって1930年に誕生。家事や子育て、家計管理など家庭生活の充実向上をめざして協力しあう「友の会」の輪は、現在国内と海外182拠点に広がっています。


「魔法の鍋帽子®️」

鍋帽子の生みの親、婦人之友社が提案する85レシピを掲載。「鍋帽子で作るならまずこれ!」という定番レシピから、「こんなものまで作れるの?」という意外なレシピ、読者の体験談まで、お役立ち情報満載です。

4 群言堂スタッフのわたしの鍋帽子レシピ

群言堂のスタッフの中でも大人気な鍋帽子。
基本の使い方をマスターすれば自分なりのアレンジ料理を楽しめるのも鍋帽子の魅力です。
今回はそんなスタッフが考えたお気に入りのアレンジレシピをご紹介いたします。

本店 カフェスタッフ
畑本真衣

鍋帽子歴8年
鍋帽子を友人からプレゼントされたことがきっかけで使い始める。火を使わなくても保温でき、置いているだけでかわいいいところがお気に入り。
鍋帽子でよく作る料理は、おでんや手羽元の煮物。土鍋でご飯を炊くのでごはんの保温にも◎。



[ 本店カフェスタッフ 畑本のレシピ ]

さつまいもの甘酒

さつまいもと米麹、
砂糖ゼロの自然な甘み。
これを作るようになったのは、息子の離乳食期に、腸にいい善玉菌を増やしてあげたいと思ったのがきっかけ。当時は、パン作りにもハマるなど、自分の中で発酵ブームだったんですが、いろいろ試した中で、さつまいもが一番甘くて優しい味に仕上がってくれました。
水や牛乳で割って飲んでも、ヨーグルトにジャムのようにかけてもおいしいですし、小分けにして冷凍しておき、パンケーキやマフィンを作る際に、砂糖やはちみつの代わりに甘味料として加えるのもおすすめです。


【つくり方】
さつまいもは皮をむいて1㎝角に切り、火が通るまで蒸す。
さつまいもの粗熱がとれてから鍋に移し、ほぐした米麹と水を加えて、マッシャーなどで軽くつぶしながら弱火にかける。
❸ ❷を温度計で測りながら60~65℃まで熱する(70℃以上になると麹菌の分解酵素が働かなくなるので気をつける)。
60~65℃まで温度が上がったら火からおろして鍋帽子をかぶせ、2時間後に様子を見る。温度が下がっていたら、再度弱火にかけ温度を上げる。
そのままひと晩(6~8時間)鍋帽子をかぶせておけばできあがり(翌朝味見して甘味が足りなければ❹を繰り返し行う)。

※夏場の長時間使用は、注意が必要ですので、詳しくは商品付属のリーフレットをご確認ください。

瓶に小分けにして、おすそ分け。

食材の変身ぶりを子どもと一緒に楽しんで。


【つくり方】
ボウルにさつまいも甘酒、卵、オイル、ベーキングパウダー、塩を順番に加え、そのつど泡立て器でよく混ぜる。
粗くつぶしたバナナも1に加え混ぜ、ふるった小麦粉をゴムべらで切るようにさっくりと混ぜる。
カップに入れ、お好みでナッツやバナナの輪切りなどトッピング
180℃に予熱したオーブンで約20分焼く。


季節野菜のミネストローネ

おむすびに合う、具沢山ミネストローネ。

鶏もも肉と野菜から出る旨味を生かして、顆粒コンソメなどは一切不要。仕上げに塩と醤油で味をととのえたら、ごはんによく合う味わいになりました。コツといえば、玉ねぎとトマトと鶏もも肉は必ず入れてほしいことと、沸騰後にアクを丁寧に取ることぐらい。写真のように具材を大きめに切ってゆっくり煮込んでもいいし、小さめのサイコロにカットすれば調理時間が短縮できます。帰宅が遅い家族がいても、鍋帽子をかぶせておけば保温性ばっちりで、手早く食卓に出せるのもうれしいところ。


【つくり方】
鶏もも、玉ねぎ、人参、季節の野菜は食べやすいサイズに切る。
にんにくはみじん切りにする。
鍋にオリーブオイルを熱し、にんにくを炒めて香りが出たら、玉ねぎ、人参、鶏肉を入れて炒める。鶏肉に軽く火が通ったらトマト缶と残りの野菜、押し麦、水1Lを加え、アクを取りながら5分ほど煮込む。
鍋にふたをして火からおろし、鍋帽子をかぶせ、30分ほど置く。
鍋を再び火にかけ、醤油、塩で味付けをする。

鍋帽子の中に潜んでいた香りが一面に広がります。

冷蔵庫のお片付けも兼ねて、旬の野菜をお好みで。

鍋帽子

基本の鍋帽子のレシピは「魔法の鍋帽子®︎」がおすすめです。