⒉足元に息づく宝、 拾いあつめた里山パレットの色。|里山パレット

足元に息づく宝、 拾いあつめた里山パレットの色。

私たちが暮らす石見銀山の里。山陰特有のしっとりと湿り気を帯びた空気の中、緑濃い森にさまざまな山野草が息づいています。身近な植物から色をいただく「里山パレット」の取り組みが始まってから、私たちが染めに生かした草木や果実の数は約100種。その多様性は、風土の豊かさそのものです。今シーズンは、これまでに実践してきた染めの中から、 種の植物をセレクト。すべて大森町内か近隣エリアで採取したものばかりです。植物の内側からこぼれ落ちる物語に耳を澄ませるように、繊細な色を楽しんでみませんか。

里山パレットの植物を集めるひと


大森 SUZUKI FARMS
鈴木良拓

故郷・福島で代々続く農家の家に生まれ、幼少の頃から野山に親しんで育つ。学生時代は、植物から繊維をとって織ったり、草木染をしたりという手仕事に熱中。2012年に石見銀山生活文化研究所に入社。

里山の植物を生かして、現代の暮らしに寄り添うボタニカルダイに挑戦したいと会社を動かし、「里山パレット」の植物採集担当となる。これまでに染めの素材として使ってみた植物は約100種。現在は、群言堂の活動のかたわら、近隣の不耕作地を借りてつくった「小さな森のような畑」で、自然農にいそしんでいる。

読み物【特集"小さな森のような畑" 観察日記】

アイボリー|ドクダミ

マメ科に属する秋の七草のひとつで、根はくず粉や生薬となって役立てられます。8~10月の生育盛んな葉とツルから、グレーの翳りを宿す白が生まれました。

スティールグレー|ワラビ

若芽は春の食卓を賑わし、地下茎からは「わらび粉」が採れる山菜。秋を迎えシダのように生い茂った茎・葉・根を丸ごと使いました。

フジネズミ|タラノキ

ウコギ科の落葉低木で、その新芽は春を味わう山菜の代表格。秋に花火のような形状で実る小さな黒い実を集めて使いました。

アサミドリ|クサギ

夏に咲く花がアゲハ蝶の貴重な蜜源になる落葉低木。青色を出せる数少ない植物のひとつで、秋に熟す実や軸、ガクを使いますが採集は年々むずかしくなっています。

オイスターホワイト|クズ

マメ科に属する秋の七草のひとつで、根はくず粉や生薬となって役立てられます。8~10月の生育盛んな葉とツルから、グレーの翳りを宿す白が生まれました。

コーラルピンク|サクラ

春を告げる花の代表格・桜ですが、色を抽出するのに最適なのは晩秋。翌年に咲く花の精気をたくわえた枝から、あたたかな色がにじみ出ます。

フジイロ|ブルーベリー

7~9月に収穫期を迎える、ラビットアイ系の大粒完熟果のうち、食用に出荷できないものを集めて利用。クリアに澄んだ色味が魅力です。

ダークパープル|ヨウシュヤマゴボウ

アメリカから伝来した帰化植物。若い実が隠し持っている毒性は熟すにつれ消え、その完熟果は紫がかった美しい墨黒を与えてくれます。

リーフグリーン|クロモジ

爽やかな芳香をもつ落葉低木。和菓子用の楊枝として使われるほか、島根ではクロモジ茶も定番。染めには枝と葉の両方を使います。

ダブグレー|グミ

甘酸っぱい果実をつけるグミ科の樹木。枝葉の成分を抽出した染液から、ダブ(鳩)の羽色を思わせる紫がかったグレーがあらわれました。

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