石見銀山 群言堂

美肌和薬膳レシピ#2 植物繊維たっぷりの「ごぼう野菜ポタージュ」

「毎日の暮らしに薬膳を取り入れたい」そう考える人は多いけれど、「材料をそろえるのが大変そう」「専門店に行かないと食べられないのでは…?」と不安になる人もじつは多いのだとか。

けれど薬膳は、本来家庭料理にも簡単に取り入れられる身近なもの。

この連載では、農学博士であり、化粧品「MeDu」開発者である房薇(ファン・ウェイ)が独自にアレンジを加えた薬膳レシピをご紹介。

第2回目の今回は、大根やにんじん、ごぼうなど、手に入れやすい食材をメインに作る「ごぼう野菜ポタージュ」です。

■薬膳とは?

中国の伝統医学である「中医学」の理論にもとづいて、食材と生薬を組み合わせた料理のこと。

病気の予防や体調回復を目的に、季節や体質に沿って、食物が自ら持つ効能や性質をかけあわて作られるのが特徴です。

農学博士でありMeDuの開発者でもある房薇(ファン・ウェイ)

房からのワンポイントアドバイス

中国では、漢方医は問診時に患者の顔をまずよく見るといわれます。

理由は、「顔全体が暗くないか」「目の周りにくまが出てないか」「肌荒れがひどくハリ艶が少なくないか」など、顔から様々な情報を得ることで、「胃と腎臓が弱いのか」「肺や腸が不調なのか」等のおおよその判断がくだせるからです。

また中医学の世界には、「肺は皮毛をつかさどる」という言葉もあります。これは、「肺と腸の調子を整えれば、皮膚や毛髪の調子もよくなる」という意味。

このように、美肌作りは腸内環境の改善と密接に関わっています。植物繊維の摂取はその第一歩。自分の体質、体調に合った薬膳を暮らしに取りいれて、健やかな腸内環境、そして美肌作りに役立てましょう。

■植物繊維豊富な美肌膳「ごぼう野菜ポタージュ」材料(2人分)

ごぼう

60g

大根(葉も含む)

100g

にんじん

100g

干し椎茸

2個程度

生姜

適量

なつめ

2個

240cc

適量

粉ミルク

8g

■作り方

1 材料を適当な大きさに切り、鍋に入れて240ccの水を加える。
2 煮立ったら弱火にして50分ほど煮込む。
3 適量の塩を加える。
4 火を止め、なつめを取り出してフードプロセッサー またはミキサーにかける。
5 粉ミルクを加え、さらに弱火で10分ほど煮込む。
6 器に盛りつけ、なつめを飾る。お好みで黒胡椒を振りかけても◎。

■使用する材料の効果とはたらき

「ごぼう野菜ポタージュ」で使用する材料の大部分は、各家庭の冷蔵庫や保管庫にある野菜ばかり。ですが、どれも植物繊維がたっぷり。

植物繊維を摂取すると、腸内細菌が老化防止やコラーゲンを増やす効果のある「エクオール」という物質を作り、美肌作りに役立ちます。

そのほかにも、ごぼうは抗酸化力や老廃物の排出促進、にんじんは利尿作用やむくみ解消の効果が。干し椎茸は免疫力増加、しょうがは体を温め、なつめはストレス解消の効果が望めます。

■日々の暮らしと美容法に、気軽に薬膳を取り入れよう

薬膳のポイントは、とにかく続けること。

飽きずに美味しくいただくために、最初はミキサーにかけず、煮たままの状態でスープとして。その後、粉ミルクを加えてポタージュにアレンジして食べるのもおすすめです。

何を隠そう、レシピ開発者の房自身が、気軽に薬膳を自分の暮らしに取り入れるために開発したのがこのレシピ。水の量の調整が必要になりますが、豆乳で作っても美味しいので、気に入ってくださった方はぜひ試してみてくださいね。

次回は薬膳デザートのレシピをご紹介予定です。みなさまの腸内環境が、どんどん改善されていきますように。

房薇(ファン・ウェイ)プロフィール

中国北京生まれ。中国西北師範大学生物学部卒業、日本鳥取連合大学院生物環境工学博士号取得。その後2年間委託研究員として島根大学生物資源科学部在籍。1997年(株)石見銀山生活文化研究所に入社し、現在に至る。

書いた人

伊佐 知美
1986年、新潟県出身。「登美」ブランドで起用されている「マンガン絣」の産地・見附市が実家。これからの暮らしを考えるウェブメディア『灯台もと暮らし』編集長・フォトグラファーとして、日本全国、世界中を旅しながら取材・執筆活動をしている。著書に『移住女子』(新潮社)。

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