【第三話|特別対談】力の宿るモノ作りを信じたい~群言堂 松場忠×ポルカドットソワーユ 西山|Gungendo Laboratory×ポルカドットソワーユのコラボレーションが出来るまで

生活美に着目し、和装のよさやクラフトマインドを取り入れて作られた「ユルト」。

そして「Gungendo Laboratory」の柱の取り組みのひとつである「里山パレット」が組み合わさってできた、今回のコラボレーション商品。

連載1回目は、「ユルト」の母体となる「ポルカドットソワーユ」について。2回目は、コラボレーション商品の詳細についてご説明してきました。

もくじ


【第一話】時を超えても美しく着心地のよい服を。装う「ポルカドットソワーユ(polka dot soielle)」

【第二話】「Gungendo Laboratory」と「ポルカドットソワーユ」のコラボレーション商品ができました



連載最後となる3回目は、「Gungendo Laboratory」責任者の松場忠と、「ポルカドットソワーユ」そして「ユルト」のデザイナーである株式会社ソワーユ代表の西山広哉さんの、特別対談をお送りします。

聞き手は、度々群言堂インタビューで登場する『灯台もと暮らし』編集長の伊佐知美。

さぁ早速、率直な意見を聞いてみましょう! 

「ふたりとも、どんな気持ちでこのコラボレーションのプロジェクトを進めていたのですか?」。

「ときは来たれり」やっと出会った交差点

左から、西山さん、松場、伊佐 (横浜にあるポルカドットソワーユのアトリエにて)

西山 やっとできましたね。

松場 商品ができて、これからでもありますけどね。

伊佐 一番最初に、コラボレーションの話が出たのはいつなんですか?

松場 1年以上前……ですね。

西山 結構時間がかかりましたね。でも、奈緒子さんを通じて群言堂さんを知った頃から、僕はずっと暮らしや生活美について意識しながらモノ作りをしてきたんです。

伊佐 というと?

西山 「ポルカドットソワーユ」では、「装う」こと、つまり「ファッション」と「生活美」の間の表現を目指しています。

僕の中に、洗練された女性像を表現したいという理想があって。

伊佐 ふむふむ。

西山 けれど服作りを続けるうちに、僕個人として20年先を見据えた服作りをしなければならないという想いが強くなっていきました。

それがつまり暮らしにより近い、「生活美」に重きを置いた服作り。

松場 「生活美」。群言堂にすごく親和性のある考え方ですよね。

西山 そう。それを具現化したのが「ユルト」。

ちょうど「ユルト」をつくるタイミングでコラボレーションのお声がけいただいたので、僕としてはすごくうれしいお話でした。

伊佐 近しい感性を持ちながら、そして同じファッションブランドというカテゴリに属しながら、交わりそうで交わらなかった二者。

それが今回、いろいろな機が熟して、交わったんだなぁと、取材を通してずっと思っていました。

まさにこれが、「ときは来たれり」……!

松場 そんな感じかもしれないですね。

実際の企画は、具体的なモノの話し合いよりも、服作り以外のこと、つまり想いの共有や相互理解みたいなところに多く時間を費やしましたね(笑)。

西山 実際そうだと思います(笑)。

コラボレーションする限りは、お互いのお客様が喜んでくれるような、拡がりのある商品を作らなければと思って、プレッシャーもありました。

モノが持つ力を信じたい

松場 西山さんのモノ作りって、世界観が突き抜けてますよね。それは、純粋に羨ましい。

なんか、見ていてわくわくするじゃないですか。

伊佐 うんうん。

松場 僕らもそういったモノ作りはもちろん大切にしていますが、それがより色濃く出ているというか。

そういうのって、ある種モノとして力を持ちやすいと思うんです。

伊佐 力?

松場 えーと。僕は昔、靴を扱う仕事をしていたんですが、やっぱりより手がかかったモノのほうが、オーラがあるというのは経験則から感じるんです。

「オーラが宿る」みたいなのって、あると思うんですよ。

西山 すごく分かります。洋服にどれだけ力が宿るかというのを、僕たちもずっと追求しているので。

説明しないと分からないようなディティールにもこだわる。

手縫いをして、時には「ぐし縫い(※洋裁用語で細かいなみ縫いのこと)」を施したりして。

すると、次第に服に深みが増していく。

松場 そう、モノに宿る力っていうのはありますよね。そしてそれを信じたい。

本当に自分たちにそれを感じる力があれば、やっぱり受け手にも伝わるものがあると思いますし。

今、ファッションの業界って、量産化が進んで効率化されてできあがっているものが多いんですけど、それはそれで、僕自身、決して否定はしていません。それも必要だと思うんですよ。

でも、違う役割として群言堂ができることを考えると、想いのこもったものや非効率化かもしれないけど意味があるものを、いかに作り続けていけるのかということになるのだろうし。

西山 結局やっぱり、自分がゴーサインを出した服じゃないと、僕の場合は世の中に出すっていうのが。

なかなか……精神的には難しくって。

人の評価というよりも自分の納得感というか。

想いがどう昇華されるのかというところが大切なのかなと。

これだけ長く自分で服作りをしていると思うわけです。

これから先どれくらい長く服作りができるか分からないけれど、持続可能な、自信を持って世に出せる商品作りの追求という意味でも、今回のコラボレーションは気合が入りました。

松場 こういう取組って泥臭いかもしれないけれど、じつは、世の中がそういったことをすごく必要としているんじゃないかなぁって。

西山さんの取り組みや、うちの会社のお客様の反応などを見ているとよく思います。

伊佐 「体温を上げてくれる、モノの存在」……ですね。

量産化が進む一方で、みんなの中に膨らむ気持ち。いや、本当にあると思います。

「原材料は、間に合いますか?」本来あるべきモノ作りの姿の新鮮味

西山 でも一番驚いたというか、新鮮だったのは、あれですね。

伊佐 何ですか?

西山 染料の調達。実際に石見銀山の山に入って、木の実を採る方がいて、それを集めてはじめて染料ができる、という過程。

もちろん頭では分かっていたんだけど、いざ自分のプロジェクトとして目の当たりにすると、なかなかのインパクトがありました。

松場 ははは(笑)。

西山 本当にリアルというか、ドキュメンタリーチックというかね。染料を「採る」。

たしかに資源がなければ染められない。

「里山パレット」の場合は、まず使いたい植物が、今、山に生えているのかどうかとか、植物のストックがどれくらいあるのかという確認からスタートする。

どの色を使うかというのは、デザイナーとしてもちろん里山パレットの色見本帳から選ぶんだけど、ただ視覚的にいい、ほしいと思う色を選ぶというよりも、環境をきちんと確かめて、背景が大丈夫かを考えたり。

そういったことがすべて新鮮でしたね。

伊佐 考えてみれば当たり前のことなのに、いつの間にか当たり前じゃなくなってしまったもの。

西山 いやぁ、スリリングでした。良い経験をさせてもらいました。

松場 じつは、西山さんが最初に「ヒサカキ」という植物を希望された時、ちょっと「Gungendo Laboratory」メンバーがざわついたんです(笑)。

なぜかというと、「ヒサカキ」は捕獲難易度が高いから。

伊佐 「やばい、原材料間に合うのか?」と(笑)。

西山 そう、難易度があるらしいんですよね……。

松場 自然の植物ですからね。あとは流通を考えた時に、通年で安定供給できるかという懸念点も、実際問題としてあります。

「ヒサカキ」はヒサカキ属の常緑小高木の名称なんですが、冬になると小さな紫の実をつけてくれる。でも、小さいから1キロ集めるのが大変でもあって……。

結局、メンバーが「11月にたくさん採れれば大丈夫」と回答をくれて採用に。

西山 すごい話ですよね。とてもありがたいです。

松場 そんな舞台裏の話をしていいのかな。

日本のアパレル企業では、まず聞かなそうな会話ですよね。

でも、そんな会話ができるのもおもしろいなと思うんです。

伊佐 うんうん。

松場 それが、本来あるべき姿、素直なモノづくりだと思うんですよ。

自然の背景をすべて忘れ去ってしまって、資源があるのが当たり前という考え方こそ、ちょっと人間のエゴなんじゃないかな? って。

西山 そうですね、経験してみて本当にそう思いました。

あとは、持続可能性でいうと流通も考えていきたいですよね。

伊佐 流通?

西山 たとえば一気に作って一気に市場に出して、売れ残ったらセールでまた売って、あとは回収廃棄、みたいな……。しかも売る期間は半年だけ。

伊佐 そういうのって、さっきの資源の話じゃないですが、どこかみんな違和感を持ちながらも、見過ごしてしまっていること。

西山 そう。作る方としても、非常に疲弊してしまう。

だから、今後は新しいサイクルも考えないと。

もう少し普遍的で、長い目で見て残せるようなモノ作り。

それは今回のコラボレーションに限らず、自分の中で変えていけたらなと思う大きな課題のひとつです。

伊佐 持続可能性を持った、納得感のあるモノ作り。

そういったものにお金を払いたいと考える人……消費ではなく、応援にお金を出したいと思う人が、この数年でますます増えているんじゃないかなって、私も取材を続けながら感じています。

「じつはすごくドキドキしてる(笑)」

松場 ……色々偉そうに語ったものの、はじめてのアパレルブランドさんとのコラボレーションだから、内心ドキドキしています(笑)。

西山 僕もですよ!(笑) でも、着地すべきところに、着地できたのではないかなと。

伊佐 そうですね。互いの世界観を消さずに高め合って、ここまで魅力的な商品ができるのかと。

コラボレーションの醍醐味ですね。

日に透けるやわらかな素材のワンピース、私もほしくなりました。

今度の旅に着ていこうかな……なんだか海外の人にも評判がよさそうです。

西山 そう、きっと「里山パレット」は、海外の人にも興味を持ってもらえると思うんです。

実際にすでに行った展示会では、高評価が多くて。

今回の商品の反響はもちろん、今後の「里山パレット」や「Gungendo Laboratory」の拡がりが楽しみですね。

松場 想いに共感してくれる、仲間作りができたらいいですよね。

「里山パレット」にはまだまだたくさんの可能性が詰まっていると思います。

……いや、やっぱりドキドキですけれどね。

一同 (笑)。

伊佐 これからGungendo Laboratory取扱い店舗・オンラインショップに順次並ぶということなので、気になる方はぜひチェックしていただきたいですね。

たくさんの方にこの素敵な服が届くことを願っています。

おふたりとも、今日はどうもありがとうございました!

西山 松場 こちらこそ。

横浜にあるポルカドットソワーユのアトリエにて

ライター

伊佐 知美
1986年、新潟県出身。「登美」ブランドで起用されている「マンガン絣」の産地・見附市が実家。これからの暮らしを考えるウェブメディア『灯台もと暮らし』編集長・フォトグラファーとして、日本全国、世界中を旅しながら取材・執筆活動をしている。著書に『移住女子』(新潮社)。

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